「質問に答えなかったり、嘘の事を言ったらこれを使わざる得ない感じだからさ。頼むから正直に答えてくれ。」


「ちょ、ちょっと!秀哉!!」


私は急いで黒い物を持っている秀哉の手をお菓子を取ろうとした手を取り上げるお母さんみたいな感じで秀哉の手を取った。それもその筈、手にはスタンガンが握られていた。弱っている、それに女の子にこれを使おうとするなんて...


「こんなの使ったら、小百合ちゃん死んじゃうぞ?今でさえ死にかけなのに....しかも」


「仕方が無いだろ!?こうでもしないと何も話してくれないかもしれない。それに恵美と風華の件もある。一刻も早く助けないといけないんだ!」


その言葉に思わず手を離して、後ろへ下がってしまう。そうだ。これは単なる脅し、皆に優しいあの人気者の秀哉が瀕死の女の子に手を出す訳が無い。でも、もしかしたら....いや、とにかくここは秀哉の脅しに屈服することを願うしかない。風華と恵美の件に関しては何の情報も得られていない。秀哉は早く答えを知りたがっていた。自分が守るべき人は今どうなっているのか...


「....じゃあまず一つ目だ。そこの部屋、ここ以外の出入り口はあるのか?どうなんだ?答えてくれ。」


秀哉が焦りながらも優しく問うと、小百合ちゃんは数秒黙った後にボロボロと急に泣き出したのだ。追い込まれて、後ろには弾けない流石の秀哉でもその涙が視界に映ると戸惑いを覚えていた。