ただの野ウサギだった...


え?あ...はぁ〜...


私は力が抜けた...

完全にあの女の人だと思っていた。
この調子じゃ恵実なんて助けられないよ...
何やってるの私!!勇気を振り絞りなさい!!

頬を叩きながら自分に鞭をうち、私は先に進んだ。


ようやく階段につくことが出来たが、本来ならそんなに時間なんてかからない。恐怖で私が物凄く遅く歩いていただけだ。

自分の情けなさを実感しながらも雪で滑りやすくなっている階段を注意深くあがった。



階段は思っていた以上短いものだったが、急な階段だったので上がった時には息が荒れていた。

もう既に吐きそうだ...
苦手だからといって運動してこなかったので今度は運動もしっかりしよっと...

そんな事を思ってふと右に視線をうつす。
そこには「彩澄トンネル」があった。
ここが噂の...

恵実から見せてもらった画像はまぁまぁ明るかったし、例の動画は夜だったが所詮は映像。
リアルで見た時の迫力と不気味は凄まじかった。

深く深呼吸をして意を決してトンネル内に入った。


彩澄旅館はこのトンネルを抜けた先だ。
歩いて10分で抜けれる長さだ。
心霊スポットに行くのは今回が初めて。
普通の私なら揖屋すぎて入り口の所で泣いて縮こまることだろう。
そんな恐怖をこらえて私はトンネルを歩いている。