首取り

蘭の怒りの声と私のポケットで鳴る音が被った。だけど、この着信音は私のスマホじゃない。私の場合は大好きな刑事ドラマの音が流れる筈だが....
不思議に思いつつポケットからそのスマホを出すとそれは辰吾の物だった。いつとって、何で電話がかかるのか理解するのに数秒かかってしまったが、私は着信が切れる前に思い出して慌てて応答をした。
そうだった!警察呼んだんだ。さっきの状態を目の前にしたから頭からその事が離れていてしまったし、明らかに十分以上はかかっている。

私はスマホを耳に当てると、息を荒らしながらも呆れたような口調の男性が話し始めた。


「もしもし?通報してくれた人?」


軽くイライラしながら言われて、訳もわからないまま「はい。」と返事をする。


「通報した『彩澄旅館跡』?だよね。そこには何にも無いんだけどさ。あんまり大人をからかう事はやめてくれるかな?こっちも仕事でやってるんだからさ。」


「!!え?何を言ってるんですか?私達は今、現に旅館にいるし人がいっぱい殺されてるんですよ!?」


「あぁもうそんな演技はいいから。だって『彩澄旅館跡』って言うのは一つしかないし、そこは何にもない。見渡す限り森しかないんだよ。それとも何か?今度は旅館じゃなくて森の中にいるから探せって?あんまり大人を舐めないでな。」