慌てながらも小声で蘭が注意するも、愛梨は至って冷静で振り返る。
「大丈夫よ蘭。ここは防音壁で囲まれてる。それも結構分厚い。ドアが開いていないかぎり、ちょっとやそっとじゃあ音は外へ漏れないわ。試しにやってみたら?」
蘭は愛梨の言う事を検証すべく、少しウキウキした感じで秀哉に大声を出してもらうことをお願いした。秀哉も言われるがままにすぐに調理場から出たが、大声を出したら"首取り"に聞こえてしまうので変わりに私達が自分達の出来るだけの声を発した。私は特に大きな声を出したため、大声を出した後は喉がヒリヒリと痛くなった。
そして大声を出して数秒後に戸をノックする音が聞こえて、私が戸をゆっくりと開けると秀哉が心配そうな顔を浮かべながら「大声出したか?」と聞いてきた。私はその問いに答えるように頷くと、秀哉は嬉しそうに「マジか....」と声を漏らした。
私達の声は中々デカかったが、それすら届かないとなると相当の厚さだ。これなら水がビシャビシャ出ていても音だけでは感知されないはずだ。
愛梨は「ね?」と蘭に言い、カーテンを外した先をみた。黒いカーテンはもう一つの戸を隠していた。多分準備室か何かだろうとは思うが、何故黒いカーテンで隠していたのかが分からなかった。
その戸は独特な雰囲気を出しており、黒いカーテンで隠されるほどの重要さがヒシヒシと伝わってくる。
この戸は何なのかは分からないが、直感でやばそうな感じがする。



