首取り

そんな情けないことを両手を広げ言ってはいるが、実際は撃って欲しいと逆に懇願したいくらいだ。じゃないと俺が何のためにこんな危険な目にしかも一人で挑んだ意味がない。
幸江さんは俺の気持ちを呑んでくれたのか、銃を降ろす気は全くなく、銃を握り直して微調整してきた。

よし。この調子だ。いいか....一瞬だ。この一瞬を逃したら終わりだぞ!

自分に呼びかけながら気合い入れをする。俺の意識は幸江さんの銃の引き金をより集中して警戒した。

取り敢えず油断させたのは成功だ。そして次は...引き金を引こうとした瞬間....

俺はリアルタイムで頭の中で実況した。それは陸上の大会にはいっつもやっている事だった。それで自分の中で勝手にモチベーションをあげていたんだからいい笑いものだ。
だが、そんなのは今はどうだっていい。実況してでも生き残る!
そして幸江さんは遂に引き金に力を入れる。その一瞬を逃しはしないで、それが信号弾のようにも感じられる。

引き金に力を入れたら今度は.....瞬間的に反対方向を向いてクラウチングスタート!!!

俺は頭の中での実況に忠実に従った。幸江さんが引き金を引くと思ったらすぐにしゃがみそして実里の方向を向いてクラウチングスタートをした。これは考えて見るとバカ丸出し。敵にしかも銃を持っている相手に背中を見せているのだから。だが、俺の目的はただ逃げるだけじゃない。