もうお母さんと話すのはこれで最後かもしれないと思うと胸に苦しくなる。
お母さんはいつも私を支えてくれた。
お父さんが亡くなって女手一つで私をここまで面倒見てくれた。感謝してもしきれないよ...

私は靴を履き替えて立ち上がった。

一瞬、振り向いてお母さんに感謝の言葉を伝えようとしたがそれはやめておこう。
感謝の言葉は帰ってきてからだ。
恵実を救い出し、お母さんに日頃の感謝を伝えにここに戻る!
そして笑顔が絶えない普通の日常に必ず戻ってきてみせる!!

今まで何もしてこなかったダメ人間の私。
私は変わる!変わって帰ってくる!

そう私は決心して玄関のドアノブに手を掛けた。


「いってきます」


その一言をかみしめながら玄関のドアを開けた。