首取り

実里は蘭の顔のすぐ横の壁を手を槍みたいに貫いた。

その音が辺りを包み、そして一瞬にして元の静寂に戻った。
実里が首を傾げる中、蘭はもう限界なのか身体の力が抜けて、座り込んでしまう。幸い音はしなかったが座り込んだ時に蘭の足が実里の足に当たり、ゆっくりと下に顔を向けてニヤッとした。


「そこなんだ。もぉ~いたら返事してよ。寂しいじゃない。安心して、大丈夫だからねぇ~」


言葉とは真反対に実里は殺意剥き出しに右手を振り上げた。このまま行くと蘭の身体は実里の手刀によって真っ二つになってしまうに違いない。
それに気付いた秀哉が飛び出そうとするのを視界の端で感じ取り、慌てふためく。

秀哉が飛び込んだ所で状況は何も変わらないし、むしろ悪化する。何とか止めないと!

私は慌てて周りを見回し、近くのアセビを入れている壺を持ち、蘭とは逆方向へ投げた。
壺は綺麗な曲線を描き、ガシャンと物音を鳴らした。
その音に誰よりも早く気付いた実里は素早くその壺が割れた所へ目線を入れた。
実里はそのまま動かなく、ただじっと見つめるだけで当たりにまたしても静寂が訪れた。
しばらくすると実里は口角をあげ、何故か私と目が合う。
ゾッと身の毛が引き、数歩無意識に後ずさりしてしまう。