首取り

こういうところだ。蘭の人望が厚いのは。
一見ただの先生に文句を言うだけ言って授業をサボり、家で酒やらタバコやらしているどうしようもないやつって捉えやすいが、実は根はとてもいいやつで、人は外見で判断してはいけないって言葉がよくあうやつだった。


「やめなさい二人とも!ここで言い争っても何も始まらないわ。辰吾君。二人を探し出したら結局は皆脱出するんだからそれまで我慢してくれないかしら?」


おばちゃんは二人の間に入り込み、辰吾に向けて優しい口調で話しかける。だが、それに対して辰吾は鼻で笑い小馬鹿にしている態度を見せた。


「なるほどね....二人を『探し出したら』ですか....二人はもう地中にいるのかもしれないのに?」


辰吾の言葉で場が凍りつく。皆目を見開き『何を言ってるんだ?』といった表情だった。実際私自身もその通りで、辰吾の言葉に呆気をとられていた。


「....どういうこと....?」


おばちゃんは拳を握りしめながら震えること声で何とか質問した。


「そのまんまの意味っすよ。そもそも殺人者が人を生きてるまま捕虜にしますか?もしそうだとしても何の意味で?人をさっきっから平気で殺す連中なんすよ?もう二人はとっくに殺されて地中に埋められてるに決まってるっすよ。それだったら探すだけ無駄じゃないっすか?」