頭の整理は相変わらず出来ていない。
だが自分が今やるべき事は明確だった。

恵実を助ける!!

私はすぐに支度をした。
早くしないとってことは今すぐいかないと行けないのだろう。明日まで待ってくれるはずもない。
あの言い方だと恵実は傷ついていて拘束されている。まだ生きてる!
手を動かしてると自然に落ち着いてきた。

支度は旅館でもし1泊してしまう時の為に着替えを用意し、護身用にカッターと最近拾ったバタフライナイフを用意した。...こんなんで護身になるのか?...不安しかないがこれぐらいの準備が精一杯だった。

いつか友達か家族でいこうと思っていて貯めていた旅行費をポケットにつっこみ、私は部屋を出た。

部屋を出て、ふと思うことがあった。

あの女の人...なんであんなに人を楽しそうに殺すのだろう...
旅館にすみつく悪霊?犯罪者?殺人鬼?

色々な考えが混ざっていたが答えは明確だ。
あれは殺人鬼だ。格好から幽霊だと思ったが、幽霊は人に手を出すことはあまりない。出したとしてもあんな取っ組み合いなんてしないし、そもそもナイフを持てるのかどうかだ。

あの通話...あれは恐らく罠だ。
恵実を囮にして私を殺そうとしているに違いない。
...旅館にいったら私の命はないかもしれない。
だが恵実を見捨てる訳にはいかない。
そして死ぬとしてもただでは死なない。
やられっぱなしは後免だ。