「そんな....恵美と風華にはそんな似すぎた共通点があるなんて....」


何か刑事の推理に驚きを隠せない助手のドラマのシーンを思い出し、少しフッと鼻で笑ってしまう。
蘭も犯人が恋人だったことに驚きを隠せない人みたいな感じで「マジか....」っとボソボソと呟いていた。

二人が驚いている中サッと秀哉が入り込んで話し始めた。


「ってことだ。蘭と愛梨はこの旅館から逃げ出すことだけを考えてくれ。恵美と風華は俺たちが探し出すから。」


「え!?しゅ、秀哉君!?い、一体いつからいたの!!??」


秀哉の存在に今頃気付いた蘭は顔を真っ赤に染めて、恥ずかしそうに手を口に抑えていた。さっきの絶望的な状況に呑まれていたのとはまるで逆で、天国にでも昇っていた印象を受けた。隠した手からはみ出たどんどん上に上がっていく口角と、目の輝きを見れば一目瞭然だった。

何故こうなるのかというと蘭は『秀哉大好きアホなファンクラブの一員』だ。こんな団体は無いが、自分の中で名付けた。
この団体の中で一番アタックしていたのは蘭だ。部活終わりで疲れている秀哉にマネージャーよりいち早くタオルを手渡ししてそれで満足して、もし感謝の言葉が返ってくれば天にも昇る感じだった。