状況を理解出来ず、納得が出来なくイラつく蘭を私にもギリギリ聞こえるくらいで耳打ちする愛梨。
愛梨は思った以上に冷静で蘭は愛梨の言ったことに有り得ないくらい正直になっていた。ここで一発反論が返される所だが素直に頷いた。蘭はきっと愛梨を信用し、愛梨が言うんだから間違いないっといった思考で支配されているのだろう。
状況が状況だ。誰かに頼りたい気持ちが出てくるのは不思議ではない。


「全く知らないってことじゃないんだ愛梨。ある程度のことは理解してるつもりなんだ。」


私の言葉を予想していなく、蘭だけではなく冷静だった愛梨も驚きの表情が隠せなかった。秀哉達も黙って聞いていてくれた。
蘭の表情がみるみる険しくなって来ていたが、やはりまだ緊迫した感じは顔に残っていた。


「じゃあ話してよ咲。そのある程度理解してることを....」


「......分かった。知ってることは全部話すよ。」


私は風華の電話やメッセージや封筒。風華が教えてくれたこと。どういった感じでこの旅館へ来たか、どんな人と会い、実里とは"あの女の人"とは....
全く関係ないとは思うが、あの地蔵のことやガムくちゃ男がキモイことも全て話した。