それだけを言い残した。
それからはまた雑音に切り替わった。

今の声...恵実!?
声が低いかったが、あの後まだ生きてるとしたら...
恵実はそうとう虫の息に違いない

そう考えたらまた雑音が消えた。


「...クスクスクス...」


小さい音だが確かに聞こえた。
笑ってる?一体誰が...


「...警察や世間にこのことを広げたら...この女は殺す...」


冷たく低い声でそう言われた。
空気が凍りついた。
ゾッとした。
殺す...この言葉を今まで散々聞いてきたがこの「殺す」には殺意がありったけ込められてるのがわかる。

この声の主は恵実を襲ったあの女の人に違いない。
声だけで判断するが死者のような感じだった。

あの女の人はクスクスクスと笑ってる。
何がそんなに面白いの!?
この女の人に恐怖を抱いていたが次第に怒りに変わっていった。


「恵実をどうする気!?貴方の目的はなんなのよ!!」


怒りに身を任せて強い口調で言うと女の人の笑い声が消えた。


「...私は旅館にいる...私を見つけて友達を助けてみせろ...早くしないと殺しちゃうよ?...」


子供のような口調でそういわれ通話はきれた。