「辰吾....俺もお前も一回落ち着こう。咲の言う通り喧嘩何か始まっても意味無いし、実里がこっちに来るだけだ。」
辰吾は私の方をチラッと見て嫌々了承した。きっとこの状況が意味不明過ぎて、今すぐにでも答えを叩きだしたいのだろう。
秀哉はそれから一息つけてまた喋り始めた。
「とにかく皆旅館から逃げることを第一に考えてくれ。これ以上皆が危険な目にあう必要はない。風華と恵美は俺が必ず探し出す。」
「ふざけないでよ。私は風華を探すためにここに来たんだし、ここでこんな事が起きてるんなら尚更風華が危ない。そんな時にのこのこと家に帰るって?冗談じゃない。
私も風華を探す!!」
私は秀哉の手を振りほどき向かい合う感じでそう言う。秀哉は少し驚きを見せていた。
「そうよ秀哉君。私だって風華を助けたいし守りたい。それは戦場に立っても地獄みたいな状況になっても変わらないわ。」
さっきまで震えていた手はすっかり収まり、怯えていた表情から覚悟の決まったキリッとした顔になっていた。
秀哉はどことなく止めたがってはいたものの、私とおばちゃんの覚悟を分かったかのようにうなづいて見せてくれた。
私達の心は一つにまとまったが、一人だけそのまとまりに入れない辰吾がいた。辰吾は歯をガチガチとしながら周りを警戒していた。



