私を心配して秀哉が寄ってきて、秀哉の身体に捕まりながらようやく立つことが出来た。
実里ちゃんはゆっくりと這いつくばりながらこちらに向かってきて惠津子さんの顔の所までくると惠津子さんの頭を持ち上げベタベタと触り始めた。



「アハハハハハッ!!やったぁぁ!!!二回目で出来たぁぁぁ!!!次は一発で出来るようにしよぉっとっ。アハハハハハッ!!!!」


実里ちゃんは初めてオモチャを買って貰った幼児みたいに惠津子さんの髪を掴み、嬉しそうにブンブン回し始めた。回す度に惠津子さんの首の切断面から血があちこちに飛び散り、吐きそうになる。


「い....いやぁぁぁああああ!!」


後ろから名も知らない女性が叫び声をあげたのを合図に皆叫びながらその場を全速力で逃げていった。


「逃げろ!逃げろ!!殺されるぞッ!!」


「何なんだよアイツはッ!!一体何が起きてんだよ!!」


「さっきの人達本当に死んだの!?嫌ッ!!死にたくない!!!」


そんな叫び声を上げながら皆逃げていく中、私達四人は誰も声を出せず、動くことが出来なかった。私達は完全に出遅れていて、その叫び声は私達の後ろから段々小さくなっていった。
実里ちゃんは廊下の奥の方へキョトンとした顔で見ていると徐々に口角を上げて笑いながら私達の横を通り過ぎていった。

通り過ぎていってしばらくすると身体が動けない呪縛が解けて秀哉以外は皆崩れるように倒れていった。
その緊張感が解けて辰吾はボタボタとさっき食べた料理が少し混じった胃液をその場で吐いた。
そんな辰吾にいつもは悪態をつくが、そんな元気はなく、後ろの廊下で小さくなった叫び声がグチャッ!グチャッ!と変な音が段々混じってきていることに私は聞いていて気分が悪くなり、吐きそうになった。