首取り

それに気付いた実里は嫌な笑みを浮かべて「フフッ」と鼻で笑い、猛スピードで後を追いかけて次第に姿が見えなくなった。

優人は恐怖から一気に解放されて急に吐き気が及ぼしてその場で吐いてしまった。何の具材もない胃液が床に広がってその臭いと光景を目にしてまた吐いてしまう。
ようやく吐き終えて、腰を抜かして座り込むと奥から美津の救いの悲鳴が聞こえてきた。それを聞いて優人はボロボロと涙を流した。

ごめんなさいお父さん、お母さん、お姉ちゃん。僕は約束を守れなかった。僕の身体がまだ死にたくなかったみたい。

しばらくして優人は立ち上がり、美津が逃げた逆の方向に向かって歩き始めた。

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「助けてぇ!助けてぇ!お父さん!お母さん
!」


泣き声混じりの悲鳴が静寂だった廊下に響き渡り、廊下の壁が剥がれると思うくらい私達は衝撃を受けていた。
惠津子さんは美津ちゃんの名前を大声で呼びながら少しづつ前へ進んでいく。
いつの間にか部屋から見知らぬ人も顔を覗いていた。心底心配そうにする人もいたり、イライラしてる人もいた。どうやらこの旅館は自分が思った以上に人がいることを思い知らされた。
そんな事を思っていると廊下の奥から美津ちゃんの姿が見えてきた。