「ねぇ!何さっきの!何が起きてるの!?」
美津は声が震えていて今にも泣きそうに思えた。
「分からないよ!とにかくお母さんの所まで逃げよ!」
正直惠津子が自分を守りきれるかどうかは期待していなかったが、もしかしたら信二が帰っているのかもしれない可能性を信じて全速力で走った。
後ろで追って来ているかは分からないが確認しようにも怖くて振り向けず前を見て走ることしか出来なかった。
そしてふと気付いた。新幹線のオモチャを調理場の戸の所に置いてきっぱなしだったのだ。そしてそう思った直後身体は自然に振り返りオモチャがどうなったか見ようとしたが、そこにいたのは新幹線のオモチャではなく凄い形相で白い目を見開きながら猛スピードで追ってくる実里の姿だった。
その威圧にまたしてと圧倒され叫び声をあげる前に実里は一瞬で距離を縮めて、蚊を潰す
みたいに右手を大きく振り上げそのまま振り下げた。その右手は丁度美津の腕を掴んでいる手に当たりかけ、反射的に離してその攻撃を避けることに成功したが優人と美津の間に実里がいるという状況になり、駆け付けたいけど駆けつけられないもどかしさを感じた。実里の右手の破壊力は女の子とは思えない程で、床の板が抜けていた。もしあれが手に当たっていたら自分の手はどうなっていたのか....それを考えるだけでゾッとした。



