「....もう我慢出来ないの....ねぇ?食べていい?いいでしょ?」
「しょうがないわね。最近は客もよく来るようになったし、量的にも大丈夫そうね...」
あまり距離的には動いていなかったが、結構聞こえてくる声が小さかったので、少し空いている戸へ耳を当てることでハッキリと聞こえることが出来た。
調理場の少し開いている戸に美津と優人は手にかけて一緒にゆっくりと引くが少し戸は重く、一回新幹線のオモチャを置き両手で引いた。その引いてる時に美津の右腕に残った忌々しい野犬の付けた傷が目に入り、心がチクリと痛みながら何とか音を立てずに戸を人一人入れるくらいまで開けることに成功した。
隙間から中を除くとそこには幸江と実里の姿があり、二人とも戸に対して背を向けて何かをしていた。
女将さんと実里さんは何をしているんだろ?
そう思ってもう少し視野を広くしようと身体を動かそうとした直後、美津は幸江と実里だったことに安心を持ち、部屋の中へ入り大きな声で呼びかけた。
「ねぇねぇ!!お姉ちゃん見てな〜い?」
女将さんと実里さんは作業してるのに何で邪魔するようなことするんだろ....
心の中でため息を吐くが、一応尊敬してる姉だ。女将さんと実里さんにはきちんと謝って許してもらおうと思って部屋の中へ入って、実里達の方へ目線を向けた時、自分の目を疑うような光景が目の前に広がっていた。



