確かにお姉ちゃん何でどこにもいないんだろ?お姉ちゃんはいつも優しくて僕達を助けてくれたり一緒に遊んでくれてたのに。
もしかして....誰かに捕まったりしたのかな?

優人はまだ小学生低学年。少し大人の部分を見せるが、行方が分からないとなると誘拐などの方へ迷わず思考が進んでいった。
優人はすっかり誘拐されたと思い込んで美津より急ぎ足で前に進んだ。


「早く見つけに行こうお姉ちゃん!」


「あっ!何で美津より先に行くの!?美津が先に行くの!!」


そう言うと美津は優人より急ぎ足で追い抜いて行った。別に勝負何かしてる訳じゃないし、何でそんなに怒るのか良く分からず少しため息が出てしまう。
そんな美津を見ていると前に信二に言われた事を思い出す。

二ヶ月前に二人で遊びに公園にいった時少し信二がトイレへ行ったら野犬が姿を現して二人に襲い掛かった時があった。
どちらかと言えば優人は文学、美津は体育系だったので優人は野犬が恐ろしく、縮こまってしまったのだ。

だが、美津は優人を守る為逆に野犬に立ち向かったのだが、小学生で野犬に勝てる訳が無く美津の右腕を噛まれてしまった。泣きながら必死に離そうとするが犬は全く離そうとせず、むしろ力を加えてきた。

優人はそんな光景をただ怖がりながら見ていた。美津の泣き声が叫び声に変わった時、用を足した信二がそれに気付き思いっきり野犬の腹を蹴りあげ、猛獣のような野犬は弱々しい声を出しながら去っていった。