「もう!お母さんなんて大っ嫌い!みつ達だけで絶対にお姉ちゃん見つけるもん。」


腕を振り回しながらそんな愚痴を吐く美津に少し嫌気がさす優人は父に小学校入学に貰った新幹線のオモチャを眺めながらも少し距離を置きついていった。優人はまだ小学生という幼い年頃だったのだが初めての男の子ということで父である信二はちゃんとした男になってもらいたく、一層厳しく育てられてきた。だから今美津がやっている行動は自分にとっては信じられないし、逆に周りに見られてるような気がして恥ずかしかった。最も甘やかされてきた美津はそんな思いしている優人なんて気にもせず愚痴は増す一方だった。

はぁ〜お姉ちゃんは何でこんなことするんだろ?恥ずかしいよ....もしこんな所をお父さんに見られたらなんて言われるか...でもお姉ちゃんを注意したら怒られちゃうよ....

自分から行動が起こせず、ただただ信二と遭遇しないことを祈りながら更に距離を置いて優人はついていった。


「それにしてもお姉ちゃんどこいったんだろう?変だね優人。早くお姉ちゃんに会いたいよぉ〜」


「....そうだねお姉ちゃん。....」


あまり乗り気でないことに気付いた美津は優人に対してもそっぽ向いた態度をとり、スタスタと歩いていった。
そんな美津を見て呆れながらも小走りでついていくが、自分も同じことに引っかかっていた。