首取り

惠津子さんの話は刑事ドラマによくある被害者が加害者に鋭いナイフで刺されたかのように私の心に突き刺さった。

母親だって一人の人間だ。惠津子さんもおばちゃんも一人の人間だ。まだ母親を知らないかもしれないが、そんなに全部自分が悪いような言い方を何故するのかが分からなかった。
人は完璧になんかなれない。誰しも欠点があるし、そこまで自分を追い詰めないでください。っと心の中で思うが、母親である惠津子さんに高校生である自分が果たして助言が出来るのか、まだそのラインに立ってもいない者がラインに立っている者に物申せるのか分からず、私は情けなく口を閉ざしてただただ聞いていた。


「私母親になれたら苦しさが消える程の幸せがあると思ってたの。....そんな甘い考えをしてたからこんな苦しい事が起きるのは当然の報いよね。命を育てるっていう重大さが分かって無かった...テレビでやってる幼児虐待とかDVとかのニュースを見た時、咲ちゃんくらいの時は『何馬鹿なことやってるのか。人として有り得ない』って思ってたけど、いざ自分がその立場になると、幸せは勿論ありますけど子供の世話やら家事、仕事が重なってドンドン辛くなってくんです。かと言ってストレス解消出来る場所や時間も無くてただただストレスが溜まってくんです。....だからストレスの原因である子供や、身内に手を出しちゃうんだと思うの。