首取り

小百合ちゃんは我慢の限界が来たのだろう。少し大きい声でこの場からすぐにでも立ち去りたいという気持ちから声は震えて、後ろ足で距離を広げていった。
ある程度の距離が離れた所で小百合ちゃんはクルッと背中を向けてすぐさま小走りをした。


「............許して........」


小走りしながら小さくボソッと呟いた小百合ちゃんの声を私は聞き逃さなかった。
小百合ちゃんが去っていく背中を私はただ呆然としていくことしか出来なく、まるで時がひと時止まった感じがした。
時が止まる感覚を無くしても私は去っていった誰もいない廊下の先をただただ見ていた。

小百合ちゃん....涙を流しながら言っていたような気がする。

小百合ちゃんの言葉が妙に引っかかり頭の中で毛糸が絡んだかのようにくしゃくしゃになっていき、イラつきを感じて来た。

小百合ちゃんは何を隠し、知っているのか今すぐにでも知りたかったが今は風華を探すのが最優先だし、これ以上小百合ちゃんに付きまとっても話してくれるのは難しそうだ。

私はおじさんの昔話と、小百合ちゃんの名前くらいしか持っていない報酬を伝えるために力なく部屋に戻っていく。
ここまでくると自分がいかに無力かよく思い知らされる。

学校でクラスメイトが喧嘩をしていた時は止めに入ったり、原因を探り仲裁するのは簡単だったが、ここは私みたいな高校生が手出ししても意味の無い大きな問題を抱えてるように思えてきた。