首取り


「あのッ!すいません!」


その人は体をビクッと飛び跳ねてゆっくりと恐る恐るこちらを向いてきた。その人は白いマスクと三角巾を額に着ていたが私はすぐに受け付けで見たあの女の子。小百合ちゃんだと気付いた。



「な....なんでしょうか....?」


小百合ちゃんは弱々しく尋ねてきた。
何故そんなに弱々しく尋ねて来るのだろう。頭にはハテナが浮かび上がり首を傾げる。やっぱり小百合ちゃんは何かオカシイ。それは明確だった。


「小百合ちゃん?だよね?いきなりで悪いんだけど、小百合ちゃんは何でこの旅館で働いているの?」


まず小百合ちゃんとの距離を縮めたいと思って大して難しいことは聞かなかったが、小百合ちゃんは目線を下にして、グッと着物を片手で掴んでいた。その手には力が入っており、少しだけプルプルしていた。



「こ....答えたく....ありません....」



重い口を開けたと思ったらこの返答。思わず「はぁ!?」という言葉が出そうなのを必死に手で抑えた。
なんだろ?私何かしたのかな?

もしかしたらここの仕事をしなくちゃいけないしょうがない理由があってそれを知らせれたくないのかも!きっとそうに違いない。でも....受け付けの時のあの反応は一体....

自己暗示をかけていい方向に持ってこうとするが、一つでも疑問点が引っかかると全部そっちへ思考が言ってしまう。それ故に人を追い詰めてしまうことがあるかもしれないと、私が少し気にしてしまう部分もある。