ギシギシと鳴る足音がよく響くくらい周りは静かで人の気配はしなかった。
私は今スマホ画面をみながら、小百合ちゃんという従業員がいるであろうトイレまでトボトボ歩いていた。廊下の両隣には空き部屋があるがどれも鍵がしっかりと閉まっていた。一応小百合ちゃんはトイレだけではなく、部屋の片付けまでしてるらしいので一応やってみてはいるがどれも鍵がかかっているところばかり。開いてる部屋なんて一つも無かった。
そんなことをして疲れながらも歩いていると目的のトイレが見えてきた。
ここの旅館だと最近じゃあ珍しい共同トイレを使っている。共同トイレは二箇所あり、簡単に言うと受け付けの近くに一箇所。その反対、受け付けから一番遠い場所に一箇所ある。
ここは受け付けから一番遠い場所の方だからここを外していたらまた受け付けの方へ行かないと行けないし、そこには幸江さんと実里ちゃんがいる可能性が高いのだ。


「はぁ〜....いるかな〜」


疲れのため息を吐き出して肩を落としながらもボソッ呟いた。見た感じ共同トイレは明かりはついていなく、人の気配がない。明らかにハズレだ。
っと思った時共同トイレの女子トイレから掃除用具が入っているバケツを持って出てくる人が見えた。

もしや!

私はすぐにそこに小走りで駆け寄りながら声をかけ、手を振った。