「ご、ごめん!!つい先走ったことを。省吾君のことよく分からないくせに....本当にごめん!!一発殴って下さい!!!」


私はすぐ様誠心誠意で謝った。
私は省吾君に罵倒を受ける覚悟をしていたが、省吾君は急にクスクスと笑い始めた。
何だと思って顔を上げると片手を口に付けて微笑ながらも笑っていた。
私はポカーンとしていてしばらく経って省吾君は笑い疲れて涙目になりながら優しく話しかけてくれた。


「女の子なのに「一発殴って下さい」って....そんなのおかしいよ。ありがとう咲さん。咲さんの言う通りだよ。僕....頑張ってみるよ」


私はその言葉を聞けてホッとした。

良かった....省吾君は弱くなんかない。全然前へ進める勇気のある強い人だった。

私は感動を覚えてその感動を噛み締めていると隣の部屋の戸が勢いよくガラッと開いた。


「うるせぇぞ!!口喧嘩は外でや....あ〜お前達できていたのか....ハッ。口喧嘩になった時は頭冷やしてホテルの予約でもとっとけバ〜カ。次うるさくしたら襲うかんな」


ガムくちゃ男は言いたい放題だけ言ってすぐ戸を閉めた。

さっきまで歌ってたてめぇに言われたくねぇんだよ!何キモイこと言ってんだよ!イケメンだと思ってんのか?んなわけねぇでしょナルシが

ガムくちゃ男は人を怒らせる天才だ。あって話をしたらイラつかせてくれる。まぁ辰吾の次だけどな。
省吾君は何故か頭を下に下げて恥ずかしそうになっていた。
なんでこんな空気になんないといけないの....


「ね...ねぇ省吾君。省吾君はこの旅館のことで何か知らない?何でもいいんだけど」



「え!?あっ!はい。僕も来たことないんで分からないです。」



「そっか....ありがとうね。そして頑張って!」


そう言い残して私は何故かしょんぼりしてる省吾君を後に目的の露天風呂へ向かった。