首取り


「だってよ。風華がいないんだぞ!?この状況はもうほぼ誘拐だろ!?なのに何でわざわざ飯食って待つって....お母さんも辰吾もふざけすぎてるだろ!」


「辰吾はもともとこんなやつでしょ?おばちゃんに関しては風華が無事でいて欲しいんだよきっと。何のトラブルに巻き込まれなく、飯を食ってる間に普通に戻ってくるってことを信じたいんだよ。私達でも手掛かりを探そう。」


「って言ってもどうやってそんなの探すんだよ。」


そんなこと言われても分かんないよ....
こんなこと初めてだし、まだそんな実感ない....
いや。弱気になるな。こんな時こそ冷静になるんだ。一旦初心になって....

自分の中で落ち着きを取り戻そうする中。ある事に気付いて目を疑った。実里ちゃんの顔は辰吾とおばちゃんの方に向いているが、少しこっちに傾けており、それでいて気にしているようにも思えた。それは、私達に気付かれないように、耳打ちをするようにしている。
いくら目が不自由で耳を生かさないといけないからって、こんな耳打ちの声をまるで私達に勘づかれないように静かに聞いているなんて普通じゃない。
そして私は更に目を疑うことになった。
今一瞬実里ちゃんの口角が上がったのだ。
目の疑いようはない。今のは一瞬だが完全に口角を上げた。何故?この話を聞いてるんなら口角を上げるなんてことは出来ない筈だ。それにあれは愛想笑いとかじゃない、何かを馬鹿にしているような印象を受けた。

新たな発見をすればする程驚くほど周りの疑問点が出てくる。