晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

“千鶴が読書なんて”って思ってるの、透けるどころかはっきりと見えてるよ! 何よ、2人してさぁ!


「友達に勧めてもらったんだってば! 私だって本くらい読むもん!」

「あはは、ごめんごめん。もう読み終えたの?」


全く悪びれる様子もなく、軽くジャンプしながら美羽が聞いてくる。

私も同じように飛びながら、首を横に振った。


「まだ。あと数ページ」

「うわ。一番いいとこなんじゃない?」

「うん。早く帰って続き読みたいもん」


普段読まないから何がおもしろいのかもわからなくて、オススメの本を興味本位で尋ねてみた。私にはない強さを持ったリョータの好みを知りたかったって気持ちも、ちょっと混じって。

どんな本なんだろうって、ワクワクしながら封を開けた。