晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

「宿題、終わった?」

「昨日、なんとかね。美羽は?」

「私もオフの間に終わらせた。部活があると、机に向かう気も起きないもんね」


そうそう。疲れた体を休めることが優先になって、宿題は後回しにしがちになる。

だから、現実逃避なんてしてないで休暇中の課題は早々に片付けられるようにしてるんだ。


「そういえば、さっき長谷とすれ違ったんだけどさ」

「康介?」

「“ちづが読書に熱中するなんてありえない。絶対どこかおかしいから、倒れたら助けてやって”って言われたよ」


……オイ。

グランドの向こうで練習に励んでいる幼なじみを、反射的にギロリと睨む。

康介がそれに気付くわけもなく、バカみたいにはしゃぎながらチームメイト達とサッカーボールを追いかけていた。


「倒れるなら、せめて土の上にしてね?」

「倒れないっつの!」


眉を下げる美羽の茶々に、間髪入れず反応する。