晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

いつもの調子で、いつものように。

いつも通りの康介は、私の願いを知ったらきっと怒るんだろうな。

そんなの、神様に願うことじゃねーだろって。

夢を自力で掴みに行く強さを持った康介には言いたくなかった。言えなかった。


“今年こそ、あの景色を見れますように”。


今の私には、神様に縋らなければほんの僅かな希望さえ見えない。




強化指定クラブの冬休みは短い。


「順番にタイム測りまーす!」


三が日はあっという間に過ぎ、正月太りなどしてる暇もなく部活がスタートした。


「千鶴、一緒に走ろうよ」

「オッケー、負けないからね」

「こっちこそ」


約束を交わした美羽と、軽いストレッチをしながら言葉を交わす。