晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

示し合わせたわけでも、こうしようと口に出したわけでもないけれど、私はいつも康介の右側を走る。

これは、昔からの習性として私達2人に染み付いてることなんだ。




30分ほど走って、家から二番目に近い神社に足を向けた。

鳥居の前で一礼してから、道の脇を通って敷地内に入る。

境内の中は人が疎らで、足踏みする必要はなかった。

履き慣れたランニングシューズと砂利が擦れる感覚が足の裏に届く。


「この時期、手洗うの地獄だよな」

「洗うんじゃなく、清める、ね」


寒いだの悴むだの言いながら、作法はちゃんと守るんだから。

他にも、困っている人がいたらほっとけないところとか、本人には言わないけど、康介のいいところだと思う。


順序を思い出しながら手を清め、参拝の列に並ぶ。

ランニングで温まった体が冷める前に順番は回ってきた。