晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

遠慮して、領域には入らずにいるのかな。それはそれでおもしろいな。照れる康介、見てみたいかも。


「何笑ってんだ」


知らず識らずのうちに頬を緩めてしまっていたらしく、怪訝そうに眉根を寄せた康介が私の頭をぺしんと叩く。暴力反対!

頭を両手で抑えてキッと睨んでも、康介がそれを気にする様子はない。

ベッドの脇に腰を下ろして、床に置きっぱなしにしていたスポーツ雑誌をパラパラと捲りだした。


「……ランニング行くんじゃなかったの?」

「行くよ」

「なんで座り込んでんのさ」

「お前見たら力抜けたんだよ」

「何それ、すっごい失礼」

「嘘だよ」


ウィンドブレーカーを鳴らしながら体を翻した康介が、意地悪に口角を上げた。