ただの女子高生相手に偽名を使うとも思えないし……。
「あれっ、千鶴先輩?」
遠くから声をかけられ、完全に現実世界に意識がなかった私は、「ひゃあっ」と何とも情けない声を出してしまった。
呼ばれた方向に視線を向けると、昇降口の入り口にトモちゃんがクラブジャージ姿で立っている。
「何してるんですか? そんなところで」
靴は部室で履き替えるので、授業のない今日、ここは本来なら寄る必要のない場所。
トモちゃんの場合、クラブバッグを持っているので、さしずめ門を通ったところで私の姿を確認し声をかけに来たというところだろう。
「ううん、何でも!」
一瞬体を翻し、慌てて便箋を折り畳んで封筒の中に直した。
私とリョータを繋ぐこのやりとりの存在を、他の人に認められるのが何だか嫌だった。
「トモちゃん、今日早いね。集合時間までまだ余裕あるよ?」
「早起きできたんで、千鶴先輩の朝練に付き合わせていただこうかと!」
「何それ、可愛すぎるんだけど」
「あれっ、千鶴先輩?」
遠くから声をかけられ、完全に現実世界に意識がなかった私は、「ひゃあっ」と何とも情けない声を出してしまった。
呼ばれた方向に視線を向けると、昇降口の入り口にトモちゃんがクラブジャージ姿で立っている。
「何してるんですか? そんなところで」
靴は部室で履き替えるので、授業のない今日、ここは本来なら寄る必要のない場所。
トモちゃんの場合、クラブバッグを持っているので、さしずめ門を通ったところで私の姿を確認し声をかけに来たというところだろう。
「ううん、何でも!」
一瞬体を翻し、慌てて便箋を折り畳んで封筒の中に直した。
私とリョータを繋ぐこのやりとりの存在を、他の人に認められるのが何だか嫌だった。
「トモちゃん、今日早いね。集合時間までまだ余裕あるよ?」
「早起きできたんで、千鶴先輩の朝練に付き合わせていただこうかと!」
「何それ、可愛すぎるんだけど」



