晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

授業がないうえに走れることが嬉しい反面、寒さを感じる度に私も家で温まっていたいなぁと思ったり。


学校の門をくぐった後、いつものように部室に直行しようとして、すぐに思い直す。

脳裏を掠めたのは、昨日の放課後には姿を消していた、リョータに宛てた手紙。

いつもより更に静かな、冬独特の哀愁を醸し出す校舎に入り、自分がワクワクしているのを感じながら靴箱に手を掛けた。


「…………」


そんな私の気持ちとは裏腹に、開けた靴箱の中に入っていたのは、学年が上がる時に買い替えた上靴だけだった。


まぁそうだよねー。入れたの昨日だもんねー。

私だって時間を空けてるし、すぐには返ってこないよねー。

それなのに、何を期待したんだか。


ふーっと深く吐いた息は、白くなって消えていく。