晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

テスト返しが次に移ったのを見計らい、じきに順番が回ってくるついでに真田の元へと駆け寄った。


「ちょっと真田ー。92点なんてどうやったら取れんのよぉ」


真田の席の隣に立ち、いつものように問いかけた。

だから、いつものように「日頃の積み重ねだってば」なんて言葉が返ってくると思ってた。……んだけど。


「……真田?」


真田からの返答はなく、こちらを見る素振りもない。

心配になり、どうしたのと顔を覗き込むと。


「うわっ!?」


普段は冷静沈着な真田の肩が、ビクッと跳ねた。

予想外の反応に、思わず私まで目を剥く。


「ご、ごめん、ボーッとしてた。何?」

「いや……92点の取り方を伝授してもらおうかと思ったんだけど……」