晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

また見れたことが嬉しくて眩しくて、一筋の涙が頬を伝って落ちた。

地元に戻ったら、真っ先に報告しよう。返事がなかったとしても、一番に伝えよう。

そう決めたのに、神様は二つ目の願いを叶えてはくれなかった。


スタートラインに立つ度に、あの日のことを思い出す。

全国の舞台で、自己ベストを叩き出すことが出来た。それから、リョータがいなくなった。そんな、あの夏の日のことを。




事実として理解していても、長いこと受け止め切れないでいた。

リョータっていう大きな存在がなくなって、心にぽっかりと穴が空いたような感覚を埋められるものなんて、他になかった。

腐りそうになるところを、リョータが見てるからと姿勢を正し、目の前に立ちはだかった壁を一つひとつ打破してきた。与えられたチャンスに、無我夢中で食らいついてきた。

その結果、私は今ここに立っている。


『On your marks──Set』


スタートの合図と共に、彼がかつて駆け抜けた世界へと飛び出す。