晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

目的もなく走り続けていると、次第に前方の空が白みを帯びてきた。

空を見上げると、あんなにも綺麗に輝いていた星達はどこかに姿を隠してしまっている。目を凝らしてみても、もう見えない。


嫌だ。リョータがいなくなるのなら、朝なんて来ないでいい。

ずっと、真っ暗な夜のままでいい。

このまま2人で、夜に溶けたい。

そう思うのに、朝の訪れを報せる太陽は容赦なく夜を侵食していく。


止められないんだ。

夜が明けるのを妨げられないように、時間を止めることも、彼の命の期限を伸ばすことも出来ない。


この世には、どれだけ頑張ったってどうにもならないことが溢れている。

あまりに歯痒くて悔しくて、声の限り叫んだ。


声が枯れるくらい叫んでも、もう進めないと思うほど走っても、時間は一瞬たりとも止まらない。

朝は、容赦なく夜を呑み込んだ。









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清々しいほどに晴れ渡った空の下で、爽やかな風が吹く。

目を閉じて空を仰いでいると、耳に差し込んだイヤホンの隙間から、誰かの話し声が聞こえてくる。