晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

「あの子の最後の望みを叶えてくれて、ありがとうね」


どうしてなんですか。どうしてリョータもあなたも、そんなこと言うんですか。

最後なんて。まるで、今生のお別れみたいなこと。


「それと、これ。前の病室にあった棚の引き出しに入ってたの」


泣きじゃくる私に、再び何かが差し出される。

腕で目元を拭うと、その何かの正体が鮮明になった。


「手紙……」


もう何度も受け取ったシンプルな便箋に、リョータの字で私の名前が記されている。

震える手を持ち上げて、リョータのお母さんに断ってから封を開けた。




【登坂 千鶴さんへ。


こんにちは。これが、俺からの最後の手紙になると思います。

もう、ペンを持つのもきついんだ。

だから、今回は俺の気持ち全てを綴ろうと思います。


登坂さんに手紙を出すと決めたのは、主治医の先生から、残された時間があまり長くないことを告げられたからでした。

何よりも好きだった陸上が出来なくなっても、つらい治療に耐えた。その頑張りは無駄だったんだって、結構凹んだ。