晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

疲れが表情からも仕草からも感じ取れる状況で、それでも目を弓なりに細めるその姿は彼と重なり、胸が締め付けられる。


「受け取る資格なんて、私にはないです」

「……登坂さん」

「私がリョータを連れ出したから、リョータは倒れたんです。……私が余計なことをしなければ、今もリョータと言葉を交わせたかもしれないのに」

「それは違うわ」


ダムが決壊したかのように矢継ぎ早に言葉を吐き出した私を、リョータのお母さんが制止する。


「あなたがどうしようと、崚太はこうして集中治療室にいることになってたはず。あなたのせいだなんて、崚太も私達も思ってない」

「でも……」

「あの子ね、今すごく幸せそうに眠ってるの。きっと、もう一度走ることが出来たからよ」


リョータのお母さんの目にも、涙が滲んだ。

窓の外では、暗闇にぽっかりと月が浮かんでいる。


「生きる希望を失ったあの子がここまでこれたのは、登坂さん、あなたのおかげ。あなたがいたから、あの子は今も幸せなのよ」

「……っ」