晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

日中は世界を焼け尽くす勢いで地上を照らす太陽も、まだ眠りから覚め切っていないのか穏やかだ。

夜の静けさの残ったグランドに、リョータと並んで足を踏み入れた。


「グランドだ……」


シンプルな、しかしそこにはきっと多くの意味が込められたリョータの声。

隣を見上げると、朝日が映り込んだ瞳はキラキラと輝いていた。


「自由に、行ってきていいよ」


どんな権利があってそんなことが言えたのか。溢れそうになる涙をこらえた時に口から飛び出したのは、思わず自分でも突っ込んでしまいたくなるような文言だった。

けどリョータは気にも留めることなく、嬉々としてグランドに繰り出していく。


「ほんとはね、もうずっと長いこと思ってたんだ。もう一度、グランドに立てないかなって」

「……うん」

「まさか、ほんとに叶うだなんて思ってなかった。また走れるなんて、夢みたいだ」


土の感触を確かめるように、つま先で足元を均すリョータ。

その後ろ姿があまりに愛しくて、手を伸ばしたいと思ってしまう。

今なら言えるんだろうか。秘めたこの想いを伝えても赦されるんだろうか。