晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

声に涙が混じって、鼻の奥がツンとする。

私の手のひらの熱とリョータの手の甲の熱が、交わって溶けたらいいのになんてことを本気で思った。




何となく気まずい空気で別れたその日の翌日。少しドキドキしながら病室を訪れた私を、リョータは笑顔で出迎えた。


「こんにちは、登坂さん」

「あ……うん、こんにちは」


拍子抜けした。昨日のこと、あんまり気にしてないのかな。

ほっと胸を撫で下ろした私だけど、彼の様子がおかしいことに気付くまで、時間はかからなかった。


「今日のお昼ご飯、陣笠煮だったんだ。椎茸の肉詰めみたいなやつなんだけど、食べたことある?」「さっき、魚みたいな雲を見つけたんだ」──いつもと変わらない調子だけど、彼が私の部活について触れることはない。

昨日までのリョータだったら、今日の練習はどうだったとか、練習で疲れてるだろうから帰ったらゆっくり休んでとか、会話の流れに組み込んでいたのに。

それだけじゃない。彼の笑みが、心なしか硬く見えたんだ。無理矢理作った笑顔という仮面を被ったような。