晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

そんな私の元に、リョータの手がゆっくりと伸びてきた。


「登坂、さん」

「ん?」

「お願いが……あるんだ」


少し躊躇ってから、それでも伸ばされた大きな手に自分の手を重ねる。

首を傾げて様子を窺うと、彼は神妙な面持ちで口を開いた。


「脱獄したいから、手伝ってほしい」

「は?」


馴染みのない単語が飛んできて、間抜けな声が思わず口を衝いて出た。

リョータくん、今あなたなんと仰いましたか。

考えていることが全部顔に出ていたのか、リョータによって再びそのとんでもない単語が繰り出される。どうやら、聞き間違いではなかったらしい。


「だ、脱獄って、どういう」

「沢山、考えたんだけど……俺、やっぱりどうしても諦められなくて」

「諦められないって、何を」


きっと今私の中では何となくの予想がついてしまっていて、そんなわけがないと理性がその姿を隠しているんだ。

恐らく情けない顔をしている私に向かって、リョータが穏やかに笑いかける。


「走ることを」