そんな私の元に、リョータの手がゆっくりと伸びてきた。
「登坂、さん」
「ん?」
「お願いが……あるんだ」
少し躊躇ってから、それでも伸ばされた大きな手に自分の手を重ねる。
首を傾げて様子を窺うと、彼は神妙な面持ちで口を開いた。
「脱獄したいから、手伝ってほしい」
「は?」
馴染みのない単語が飛んできて、間抜けな声が思わず口を衝いて出た。
リョータくん、今あなたなんと仰いましたか。
考えていることが全部顔に出ていたのか、リョータによって再びそのとんでもない単語が繰り出される。どうやら、聞き間違いではなかったらしい。
「だ、脱獄って、どういう」
「沢山、考えたんだけど……俺、やっぱりどうしても諦められなくて」
「諦められないって、何を」
きっと今私の中では何となくの予想がついてしまっていて、そんなわけがないと理性がその姿を隠しているんだ。
恐らく情けない顔をしている私に向かって、リョータが穏やかに笑いかける。
「走ることを」
「登坂、さん」
「ん?」
「お願いが……あるんだ」
少し躊躇ってから、それでも伸ばされた大きな手に自分の手を重ねる。
首を傾げて様子を窺うと、彼は神妙な面持ちで口を開いた。
「脱獄したいから、手伝ってほしい」
「は?」
馴染みのない単語が飛んできて、間抜けな声が思わず口を衝いて出た。
リョータくん、今あなたなんと仰いましたか。
考えていることが全部顔に出ていたのか、リョータによって再びそのとんでもない単語が繰り出される。どうやら、聞き間違いではなかったらしい。
「だ、脱獄って、どういう」
「沢山、考えたんだけど……俺、やっぱりどうしても諦められなくて」
「諦められないって、何を」
きっと今私の中では何となくの予想がついてしまっていて、そんなわけがないと理性がその姿を隠しているんだ。
恐らく情けない顔をしている私に向かって、リョータが穏やかに笑いかける。
「走ることを」



