晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

「……って、ごめん。こんなこと言ったって、困らせちゃうだけなのに」


ハッとしたように視線を戻し、リョータが申し訳なさげに眉を下げる。


「そうだ、これ」


重くなりつつあった空気を吹き飛ばすように、明るい声を出したリョータ。

そんな彼が差し出したのは、見慣れた封筒だった。受け取り、私も笑顔を作る。


「ありがとう。返事、明日持ってくるね」

「うん」


体調のこともあるので返事の頻度は格段に落ちたものの、リョータとの文通は続いている。

右肩上がりの達筆だった字は乱れているのがデフォルトになり、やり取りも靴箱ポストを介さなくなったけど。

それでも私は、相変わらずリョータからの言の葉に心を弾ませている。




遠くに蝉の大合唱を聞きながら、視線を青空から病室に戻す。

平坦なベッドの上には、朧げな目をしたリョータが寝そべっている。


「今日、特別日差しが強いんだって。ニュースで言ってた」

「そ……なんだ」

「道理で暑いわけだよ。朝はまだマシなのになぁ」


自然のことなのでぶつくさ言っても仕方ないと思いつつ、連日の猛暑に嫌気がさしている私の唇は無意識に尖っていく。