波はあるみたいだけど、リョータの病状はあまりよくない。というのは、リョータのお母さんから聞かされた話。
「全国まで、あと少ししかないのか」
「そうだよ。選手以上に監督が張り切っちゃってさ、毎日過酷なメニュー押し付けてくんの。体力保たないっつーの」
「はは、野田監督ってそういう人だったね」
視線を窓の外に投げたリョータが、懐かしそうに言う。
なんで野田監督のこと知ってる? そんな疑問は、自分の中ですぐに解決へと導かれた。
うちの学校からスポーツ推薦を受けていたリョータ。監督と面識があっても不思議じゃない。
「俺も、もう一度だけでいいから走りたいなぁ……」
呟くように、恐らく意識の外で放たれた言葉。
陸上の話を嫌がる素振りは今まで見せなかったリョータ。それどころか、あの選手のフォームが好きだったとかこの選手に憧れたとか、そんな話に花を咲かせるくらいで、私も遠慮なく部活の話をしてきた。
だから、リョータがこんなふうに陸上への未練のような想いを吐露するのは初めてで、どういう反応をするのが正解なのかわからなくて、リョータの整った顔を静かに見つめることしか出来なかった。
「全国まで、あと少ししかないのか」
「そうだよ。選手以上に監督が張り切っちゃってさ、毎日過酷なメニュー押し付けてくんの。体力保たないっつーの」
「はは、野田監督ってそういう人だったね」
視線を窓の外に投げたリョータが、懐かしそうに言う。
なんで野田監督のこと知ってる? そんな疑問は、自分の中ですぐに解決へと導かれた。
うちの学校からスポーツ推薦を受けていたリョータ。監督と面識があっても不思議じゃない。
「俺も、もう一度だけでいいから走りたいなぁ……」
呟くように、恐らく意識の外で放たれた言葉。
陸上の話を嫌がる素振りは今まで見せなかったリョータ。それどころか、あの選手のフォームが好きだったとかこの選手に憧れたとか、そんな話に花を咲かせるくらいで、私も遠慮なく部活の話をしてきた。
だから、リョータがこんなふうに陸上への未練のような想いを吐露するのは初めてで、どういう反応をするのが正解なのかわからなくて、リョータの整った顔を静かに見つめることしか出来なかった。



