晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

「臨むところだ。お前こそ、追いつけなくなって泣き言言うんじゃねぇぞ」

「言わないし! こちとらずっと走り続けてんのよ!」


挑発に挑発を重ね、河川敷に繰り出した私達。

ランニングという名の意地と意地のぶつかり合いが集結する頃には、お互いの足は悲鳴を上げていた。




翌日、午前と午後の練習の合間に時間が出来たので、学校を抜け出して病院を訪れた。

会えるかどうかはわからないけど、昨日渡せなかった手紙だけを持って。

病院はいつにも増して静かで、ジャージ姿の自分があまりに不釣り合いなように思えた。


「あ、彩音ちゃん」


長い廊下の前方、リョータの病室の前に私服姿の彩音ちゃんがいた。

こぼした声が届いたのか、彼女が俯いていた顔を上げる。その拍子に、大きな目に溜めていた涙が弾けた。


「あ、彩音ちゃん……?」

「…………」


視線が絡んでも、彼女は口を堅く引き結んだまま動かない。

嫌な動悸がして駆け寄ると、彩音ちゃんはふっと目を逸らした。


「どうしたの」

「…………」