晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

青葉の茂る桜並木の下。歩道に沿って、フェンス越しに学校のグランドが見える。


ついてきてとしか言われなかったけど、どこに連れて行かれるんだろう……。

一抹の不安が胸を過ぎるも、先を行く彼女の背中が会話の発生を前面に拒んでいて、問いを投げ掛けるのを私に赦さなかった。


「…………」

「…………」


彼女の短いスカートのプリーツが一定のリズムで揺れるのを、ぼんやりと眺めながら歩く。

歩道沿いにフェンスがなくなった直後、チェック柄のスカートが小さく左に靡いた。


……え?

瞬時に反応出来なかったのは、直進すると思っていたから。この施設に入っていくだなんて、微塵も思っていなかったから。

進むスピードが格段に落ちた私になど目もくれず、名前も知らない彼女は大股でずんずんと歩いていく。

予想外の展開の連続に頭が真っ白になってしまいそうなのを寸でのところで振り切り、小走りで彼女を追いかけた。