晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

「じゃあなんで、私の靴箱の前にいたの」


特別な理由がない限り、他人の靴箱になんて用はない。

クラスの誰かならまだしも、こんな子、隣のクラスにだっていないはず。

リョータに関係があるとしか、思えない。


「お願い。リョータのこと、何か知ってるなら教えてよ。私、1人じゃもうどうすることも出来ないんだよ」

「…………」

「私が信じてたリョータは嘘だったの? リョータは私のことなんてどうでもよくなった?」


彼女がリョータと繋がっているという確証はないのに、口を衝いて出る言葉が止まる気配はない。

募りに募った不安が、ダムが決壊したみたいに溢れ出す。


「リョータにとって、私との繋がりは簡単に棄てられるものだったの……!?」

「──ッ!」


右手一閃。彼女の小さな右の掌が、私の頬を捉えた。

突如左頬を襲った痛みに、言葉を失う。