晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

「陸上部の登坂さんでしょ?」

「誰?」

「知ってるけど、話すのは初めてだと思うよ」

「あぁ、真田さんと仲いい子だよね。どうしたの?」


みんな私との関係を隠している様子は全くなく、全員が全員、何故登坂千鶴が訪ねてきたのかわからないといった様子だった。

3年生はどうやら外れらしい。でも、まだ希望はある!

別れ際にはきちんと詫びを入れて、次の休み時間からは2年生の校舎へと捜索範囲を移した。

同学年とは違い、知ってる人はほとんどいない2年生。いきなり知らない上級生が教室に来たらますます不思議がられると思うけど、背に腹は代えられない。

部活の後輩をツテに、順番に教室を回っていく。


2年生の中に、“リョウタ”は2人。

だけど、彼らの反応はそれまでの4人と同じようなものだった。

こんな人知らない。この先輩は一体誰だ。コンタクトなんてとったことがあるはずもない。

対面したときの表情や態度から、そんな心中が読み取れた。