晴れ渡る空の下で、君のために風となる。

気安さから、先に3年生から当たっていった。

部活繋がりだとか過去に同じクラスだったとかで、各教室に必ず1人は話せる人がいる。

こんな時、人脈の大切さを痛感する。もっと友好的だったらこんな虱潰しに当たっていかなくても済んだかもしれないのになぁ。


「このクラスに“リョウタ”って人いる?」

「んーと、うちのクラスにはいないと思う」

「そっか、ありがと!」


ダメだったら、次の教室。向かう足は自然と早足になった。


「“リョウタ”って人、ここにいる?」

「いや、いない。あ、でも5組にはいるぞ」

「え、なんて人!?」

「嘉納亮太ってやつ」


カノウリョウタ……。初めて聞く名前だ。

次は3組だけど、先に5組に行くべき? いやでも、“リョウタ”がいる可能性がある以上、順番に行くのが賢い気がする。

と瞬時に結論付け、カノウリョウタくんの存在を教えてくれた野球部の若月にお礼を述べてから次の教室に向かった。




カノウリョウタくんを含め、同学年に“リョウタ”という名前の人物は4人いた。

クラスに押し掛け個々に対面し、ド直球で私の存在を知っているか、私にコンタクトをとったことがあるかを尋ねた。