「そんなの、気にしてないから謝る必要ないんですよ」

「でも……」

「それでも申し訳ないと思うのなら、試合で結果出してください。それでチャラです!」


呆然とする私に、トモちゃんは白い歯を見せて笑った。

あぁもう。なんていじらしい、最大のエールだろう。

うちのマネージャーがあんたでよかったよ、トモちゃん。


「あ、そうだ。千鶴先輩に聞きたいことあったんだ」

「聞きたいこと?」


ボトルに入ったドリンクを呷りつつ、トモちゃんを横目に見る。

彼女は丸い目に光を散りばめ、私との距離を縮めてきた。


「長谷先輩と、何かあったんですか?」


まるでコントか何かのように、口に含んだスポーツドリンクを吹き出してしまった。

その拍子に気管に入り、ゴホゴホと咳き込んでしまう。

そんな私を介抱するトモちゃんは、苦笑いで言葉を続けた。


「喋ってるところ全然見ないし帰りも別々みたいだから、喧嘩でもしたのかなぁーって」