今まで見たことのない康介に会うのが怖くて、逃げてしまっているからだ。


「この前の試合にも顔見せなかったし、大丈夫か? あいつ」

「…………」


康介が出ることのできなかった試合は、接戦ではあったものの、何とか勝つことができたらしい。

康介にもメールか何かでその一報は入っているだろうけど、どんな気持ちでそれを知ったかはわからない。

幼なじみだからって何でもわかるわけじゃないんだと、突きつけられた気分だ。

経験した人にしかわからない気持ちって、あると思う。


「ま、何か連絡来たら教えてよ!」


表情を曇らせる私を気遣ってか、南山は必要以上に明るく言い、その場を後にした。




──ピッ!

グランドに響くホイッスルの音を遠くに聞きながら、トレーニングをこなしていく。

その途中でサッカー部の方に視線をやるけど、そこに康介の姿はない。