いつもはふざけた康介。

だけど、サッカーのことになると真剣で、バカみたいに真っ直ぐで。

先輩を差し置いて試合に出させてもらうからには半端なプレーなんて絶対に出来ないって、夜遅くまで練習して、今日なんかは苦手な朝も乗り切って。

その姿を、傍で見てきた。

誰よりも、一番近くで見てきたのに……。


「……っう」


肩を震わせる康介にかける言葉を見つけることができなくて、ここで私が泣くのはずるい気がして、必死に唇を噛んだ。


重苦しい空気を乗せた車は、夜の帳を駆けていく。